売るのをやめたら売れていく

「販売とマーケティングは逆である」とはドラッカーの言葉である。 だとすれば、あなたの仕事は「販売」か「マーケティング」か。 限られた経営資源をどちらにどのくらい振り向けようとするのか。 販売不振を嘆くまえに、「マーケティングの定義」を明確にし、販売と区別してみよう。


今回もまた、
パラドキシカルな対処法っぽい話をひとつ。
売るのをやめたら売れていく
‥‥という、
いつもながらナンセンスでばかばかしい話なので、
よい子のみんなはマネしないでね(≡^∇^≡)
あなたはこれとは反対に
売らなければ売れるはずない
と思いこんでいますよね?
そしてまた明日も、
つらい販売促進会議に招集されていませんか?
だとしたら、
売らなければ売れない想いに長いあいだ苦しめられて、
心がボロボロに疲れている恐れもありますね。
売らなければ、売らなければ、売らなければ‥‥
と、
いそがしく動きまわるアタマをしばし休めて、
マーケティング
ってもんを考えてみませんか?
──っていうのが、
わたしからの今日の提案です。
 これまでマーケティングは、販売に関係する全機能の遂行を意味するにすぎなかった。それではまだ販売である。われわれの製品からスタートしている。われわれの市場を探している。これに対し真のマーケティングは顧客からスタートする。すなわち現実、欲求、価値からスタートする。「われわれは何を売りたいか」ではなく、「顧客は何を買いたいか」を問う。「われわれの製品やサービスにできることはこれである」ではなく、「顧客が価値ありとし、必要とし、求めている満足がこれである」と言う。
 実のところ、販売とマーケティングは逆である。同じ意味でないことはもちろん、補い合う部分さえない。もちろんなんらかの販売は必要である。だがマーケティングの理想は、販売を不要にすることである。マーケティングが目指すものは、顧客を理解し、製品とサービスを顧客に合わせ、おのずから売れるようにすることである。P・F・ドラッカー「[エッセンシャル版]マネジメント──基本と原則」より

最初にドラッカーのこの言葉に接したときは衝撃でした。
売らないのがほんとうなのかも
‥‥と
ビビッと来た。
というか、
それまでもなんとなくそうじゃないかと感づいていたことを、
こんなに気持ちよく
>逆だ!
と言い切っていただけるとは L(・o・)」
ドラッカー教授のこのスカッとした言葉が、
わたしがマーケティングの仕事を始めるきっかけとなりました。
売ってこい!
売ってこい!
売らねばならぬ!!
と、
わたしの短いサラリーマン経験の中で、
販売目標を与えられてケツをたたかれた期間がちょっとだけあります。
成績はまんざらでもありませんでしたが‥‥
まったく向いてませんでした・゚゚・(×_×)・゚゚・。
そこに少しでも喜びを見いだせたら、
セールスマンとしてやっていけてたのかもわかりませんが、
ちっとも燃えませんでした。
売ってこい!
という会社の指令が、
お客さんの買いたい気持ちより先にある気がして、
押し売りみたいでイヤでした。
もう30年近く昔のことで、
商売のイロハもわからないガキでしたが、
実はいまでも販売は必要最低限しかやってません。
売らなくても売れていく
──そのしくみづくりのほうが好きなので、
売らないでやっていくほうに賭けてるんです。
あー、
きっと今日も数え切れないくらいの営業マンが、
販売目標に届かないグラフを鼻先に突きつけられ、
見えないノルマを背負わされ、
もうちょっとがんばれ、
達成までチャレンジするんだ、
支店の記録を塗り替えるんだ、
と、
少しずつ神経を削られているんでしょうなあ。
もしあなたが該当者なら、
くれぐれもお大事になさってくださいね。
神経ってね、
わりとあっさり切れちゃうんですから。
プチッて。
油断してると急にやられますから。
ヤバいなって感じたら逃げるのもありですから。
販売マーケティングの関係は、
イカダを動かす2つの動力に似ている気がするので、
かなり大切なバランス感覚
いつも意識しています。
販売するっていう姿勢が、
櫂を漕いでイカダを進める努力に近い

思えてしかたがないんですね。
つまりマーケティングのほうは、
帆に風を受けて進む知恵ですから、
潮目や風向き読む努力が必要になります。
真のマーケティングは顧客からスタートするんですから。
(自分が)何を売りたいかではなく、
(相手が)何を買いたいか


読まなければなりません。
これはビジネスを離れた日常生活でも同じことなんですけど、
やっぱり大半の人間は自己中心なんですね。
>わたしはこんな素敵なもの持ってます。
>わたしはこんなにすごいことできます。
>わたしは‥‥
>わたしは‥‥
>わたしは‥‥

ですよね。
知らず知らずのうちに
誰も彼もが「わたしは‥‥」なんです。
>あなたはもしかして、
>こんなことでお困りなのではないですか?

とはきかない。
それはわたしも同じでして、
自分でももう恥ずかしいくらいの病気なんです。
なんの病気か?
あっちから見たこっちが見えない症候群
なんですね。
お客さまから見たあなたは、
相手がそっと悩みを打ち明けようとしてもガサガサとせわしなく、
自分のカバンから出してきたパンフレットを広げてパッパーッとしゃべりだす。
──そんなふうなんです。
ほんとうにこれは他人事ではありません。
販売不振の会社の9割がこの症候群に冒されていると断言できる。
ですから、
経営指針書でこの病気を治療してください。
外部環境分析のページで手抜きせず、
市場動向や競合他社についてのリサーチを真剣にやってください。
あなたがいま取り組むべきことは、
販売なのかマーケティングなのか。
そこ、
はっきりさせましょうよ。
もちろんどっちも必要だとしても、
ですよ、
両者のちがいをきちんと理解して、
頭の中で作戦を組み替える必要があるんです。
そして日常生活においては、
自己中心性を削ぎ落とす努力を怠らないように。
相手の望みに合わせて、
自分のやりたくない仕事をしなければならない
という意味ではぜんぜんありませんよね。
あなたの「売りたい」とお客さんの「買いたい」が一致する場所がある
ってことですよね。
愛と感謝の経営を「いま、ここ」から(≡^∇^≡)