売るのをやめたら売れていく
「販売とマーケティングは逆である」とはドラッカーの言葉である。 だとすれば、あなたの仕事は「販売」か「マーケティング」か。 限られた経営資源をどちらにどのくらい振り向けようとするのか。 販売不振を嘆くまえに、「マーケティングの定義」を明確にし、販売と区別してみよう。
「販売とマーケティングは逆である」とはドラッカーの言葉である。 だとすれば、あなたの仕事は「販売」か「マーケティング」か。 限られた経営資源をどちらにどのくらい振り向けようとするのか。 販売不振を嘆くまえに、「マーケティングの定義」を明確にし、販売と区別してみよう。
これまでマーケティングは、販売に関係する全機能の遂行を意味するにすぎなかった。それではまだ販売である。われわれの製品からスタートしている。われわれの市場を探している。これに対し真のマーケティングは顧客からスタートする。すなわち現実、欲求、価値からスタートする。「われわれは何を売りたいか」ではなく、「顧客は何を買いたいか」を問う。「われわれの製品やサービスにできることはこれである」ではなく、「顧客が価値ありとし、必要とし、求めている満足がこれである」と言う。
実のところ、販売とマーケティングは逆である。同じ意味でないことはもちろん、補い合う部分さえない。もちろんなんらかの販売は必要である。だがマーケティングの理想は、販売を不要にすることである。マーケティングが目指すものは、顧客を理解し、製品とサービスを顧客に合わせ、おのずから売れるようにすることである。P・F・ドラッカー「[エッセンシャル版]マネジメント──基本と原則」より