こんな顧客管理はやめよう──5つのムダ 顧客を知る、理解する。それはもちろん重要な課題。 しかし、現代はそれでも十分ではなく「つながり」が求められる時代。 いつでもそばにいるかのように「つながり」が必要。 それが売れるしくみそのものであり、そして販売が不要になる。
顧客について知るという課題が激変してきました。 知るとか理解するとかいうレベルを超えて、 売り手とか買い手とかいう区別すらなく、 人と人とがつながる段階に入ってます。 情報がクラウドに集積している時代、 「フェイスブック」をはじめとする、 SNSの影響は計り知れないものがあります。 情報の流通形態をクラウドが塗りかえてしまって、 マーケティングは2.0から3.0へ進みました。 それなのに‥‥ 顧客管理のやり方がむかしと同じでいいはずがない。 いまどきやめたほうがいいムダを5つ挙げます。 会員登録用紙 満足度調査のアンケート 記録式の会員カード 「エクセル」で作る顧客リスト ?? 5番めの「??」については後ほど書きますが、 これらをまだ使っている、やっているとすると、 その管理は「労多くして功少なし」と言ってまちがいなし。 なので、 いまからその無駄の大きさを検証してみよう! ──というようなノリのセミナーで講師を頼まれました。 自社主催じゃなく招かれて話すセミナーです。 初対面の人がいっぱい来ます。 いわゆる「アウェイ」ってやつですが、 アウェイ企画の場合、 中味がたいしたことなくても派手なタイトルがつけられてしまう ことが多いのでヒヤヒヤします。 (わたしはわりと地味なタイトルを好むんです。) 今回も例にもれず 「時代に乗り遅れるな!」とか「劇的に変化する!」とか、 けっこう大げさになってしまいました ε=( ̄。 ̄;) 「これだけはゼッタイいけない!」みたいな ネガティブな切り口のほうが集客効果が上がりますから、 とりあえずご期待どおり、 ちょっと毒を混ぜこみまして、 派手めの脚色にしてみました。 はいε=( ̄。 ̄;) ムダ1=会員登録用紙 会員になっていただく際に、 お客さまに電話番号とか住所とか書かせるやつです。 「会員登録シート」とかですね。 必要かどうかなどという段階ではなく、 これはもう無条件に廃止したほうがよろしい。 >その場ですぐに紙に書いてもらわなきゃ入会してもらえない! とかね、 >ウチの客層は年配が多いんだから‥‥ っていう話 なんだとは思いますがね、 そこらへんをあえてあとへまわしてください。 コミュニケーションのチャネルがぐんぐん多様化しているんですから、 それについていく方向へ自分を追いこむ意識が優先です。 はじめに情報を紙に書いてもらったら、 誰かがコンピュータに入力し直す手間がかかりますよね。 いわゆる転記をしないといけない。 そこで入力ミスが起きる可能性もあります。 諸悪の根源ともいうべき二度手間の典型が転記なんです。 手間をかけてミスを増やすようなことを続けていてはいけません。 個人情報の理想はメンテナンスフリー。 顧客自身に管理してもらうのがいちばん楽です。 みずから登録してもらう。 修正もご自身でやっていただく。 クラウド化を強くおすすめする第一の理由がそこにあります。 ふだんからしっかりおもてなしが施策として具体化していれば、 お客さまは自分からすすんで「会員になりたい」と感じるはず。 メリットを感じるから登録するんです。 あれこれ書かせようと苦心するのでは順序がちがいます。 消費者は個人情報が漏れることに対しては神経質です。 とにかくひとつでいいから、 コンタクトが取れるチャネルを開いてもらえばいい‥‥ という気持ちでいたら、 本名も知らなくていいし、生年月日もいりません。 住所も電話番号も、メールアドレスさえいりません。 果報は寝て待て。 そんなご時世です。 ムダ2=アンケート ムダの2番めは顧客満足度調査のためのアンケートです。 ま、 やらないよりやったほうがマシっていう意見もあるでしょうが、 アンケートっちゅうもんは全般的に無駄が多い。 そもそも中小企業は集めたデータの活用がヘタですから(-””-;) あとの活用がほとんどできてないところばかりです。 「お客さまの気持ちの中味を調べなければならない」 みたいなのが、 なにか強迫観念のように植えつけられていて、 いっしょうけんめいアンケート取られてるんですけど‥‥、 円グラフやら棒グラフやらいろいろ資料作成もされるんですけど、 それがPDCAの「C」に使われることなくおしまい っていうケースが多い。 アンケート用紙をこしらえたり配ったりするだけで疲れてしまって、 事務方に集計結果だけ持ってこさせて終わり。 「ご意見ご感想」の欄なんて読んでませんε=( ̄。 ̄;) 先に打つべき行動プランが2つ以上あって、 どちらにも進めるだけの準備ができている会社が、 顧客の欲求を精査するために行うという順序でなければ、 アンケートなんて無駄ですよ。 相手の気持ちを聞いてるフリだけして聞いてないことになりますんで、 そんなのサイテーでしょ。 >あなたはわが社のサービスに満足ですか? と 100人に聞いたとして、 半分がノーと答えたらどうするっていうんですか? ショック受けるだけですか? アンケートの結果を見てから行動を考えるなんて、 甘えですよ。 結果的に顧客の満足度が把握できる調査はけっこうなんだけれども、 「満足度を調べる」ことを第一目的にしてしまうと、 その時点ですでに 発想がプロダクトアウト型のご都合主義になっている恐れがあります。 顧客の意見を聞いたらすぐに商品に活かせる体制整備が先。 企画案Aと企画案Bという2つの企画がある。 どちらの案も実現可能性の検証は終わっていて、 資金的にも問題なくいつでも取りかかれる。 こういう状態で顧客の声を取り入れるならアンケートOK。 >この商品にはあなたの声が生きている(*^_^*)! ってやつですね。 ムダ3=記録式の会員カード 無駄の3番め。 「記録式の会員カード」ってわかりますかね? いちばん安直なのはリライタブルカードってやつ。 磁気カードとかもそう。 無駄が無駄を生むという、 わりとやっかいな代物です。 記録式ではありませんが、 ついでに言うと、 バーコードやらQRコードのついたカードもかなり無駄です。 リライタブルカードはポイント管理のためのカードですね。 お買い上げごとにカード自体がポイントを記憶してくれるしくみですが、 むかしからあるスタンプカードと理屈はいっしょでして、 理屈がシンプルでわかりやすいのが長所なんですが、 ま、 便利なだけです。 いま何ポイントたまってるかっていう情報は、 顧客の側にあってみなさんの手元にはない。 ですから、 それだけをとってみても顧客を知るという観点から不合格。 しかも、 このカードを使うということは、 「リーダーライター」という読み書きのための専用機器にコストがかかります。 なんにせよ、 単機能なハードはおすすめできません。 会員カードにもたせる情報は、 4~5桁、 せいぜい6桁の会員番号だけ。 それ以上の情報は不要。 ないほうがいい。 バーコードやQRコード、 磁気ストライプやICなど、 カードに情報をもたせる手段はいくつもありますが、 小規模店舗に限っていうならどれも不要。 手間とコストがほんとうに無駄です。 顧客を一意に識別するためのミニマムな情報──すなわち会員番号──がわかれば、 必要な情報はすべてクラウド上のサーバから取り出すのが いちばんスッキリしてるんです。 たった4~6桁の数字だけでいいんですから、 バーコードやQRコードにする意味ももちろんありません。 リーダーにかかる費用が無駄です。 置いとく場所も無駄。 ムダ4=顧客リストを「エクセル」で作ること パソコン使えなかった人が、 最初にチャレンジする率がとても高い「エクセル」。 「エクセル」で表を作って、 縦計や横計が自動でパッパッと変わるのを見た瞬間、 >わっ、 >あたしもついにパソコンできるようになったわ! と 感動するようです。 おめでとうございます(ΦωΦ) でもね、 その喜びに冷や水を浴びせるようで申し訳ないが、 「エクセル」で作った顧客リストっていうのは データが分散してしまっている象徴のようなもの。 無駄の源になってます。 会社にある「エクセル」のワークシート数が多ければ多いほど、 データがあっちこっちでバラバラに管理されていて、 作った人にしかわからないような処理が増えていると見てまちがいないでしょう。 ファイルとファイルとのあいだにまたがったデータを、 マクロかなんか使って串刺しにすることまでできる「エクセル」の達人がいたりすると、 管理は「部分最適」どころか「局所最適」になってしまう。 すなわち全体最適からいちばん遠いところに行きついてしまう。 ヤバいです{{{{(+_+)}}}} なんべんも言うようですけど、 データはクラウドに一元集約化して置いておくのが理想。 ポスレジもネットショップも同じクラウドで動かす。 そうすると、 顧客情報として必要不可欠な 最終来店日 お買い上げ履歴(品目や数量、お買い上げ総額など) 接客担当者 ‥‥ といったデータは、 レジでの精算処理と同時に自動的に更新されることになります。 あとはそこに ご意見やクレームの履歴 接客上の気づき 等を入力して足しておけばよろしいのです。 ムダ5=?? さて最後に残った最大の無駄、 なんでしょう? それは「販売」です。 「売り込み」なんて言語道断ですが、 売ろうとする意識すらもう不要でしょうね。 営業なんて忘れちゃってください。 電話もハガキもメールもFAXも、 ぜ~んぶ無駄。 >だって効果あるんだも~んC=(^◇^ ; って、 喜んでる場合じゃないですって。 だんだん無駄になっていく率が高い。 こないだアドボカシー経営のセミナーをやったばかりで、 そのときの反応がけっこう良かったもんですから、 あなたのお店にもアドボカシーをおすすめします。 こんなこと言ったら叱られるでしょうけど、 売上(ウリアゲ)なんて言葉も社内で使わないでいただきたい。 数字がキビしいなら、 そういうときほどアドボカシー。 P理論よりA理論って、 「アドボカシー・マーケティング」にも書いてありますしね。 いまだにあっちこっちからセールスの電話はかかってきますけど、 あんなもん、 無駄を通り越して社会悪でしょ。 成果が出るとか出ないとか以前に 迷惑かけてるんですからアウトです。 DMハガキにも無駄が多い。 そもそもDMハガキを送ることが無駄かもしれないのに、 その宛名書き作業をせっせと自力でやっていたとしたら、 ダブルで無駄です。 メルマガもほとんど無駄。 飛びかっている数が天文学的に多いわりにはほとんど無駄。 パソコンのメールなんて読まない人が増えてきました。 スマホのほうが便利だからですね。 情報をどんなふうに届けてほしいかが、 いまはバラバラでやっかいなんです。 この1~2年、 「フェイスブック」で用件を済ませるケースも増えました。 「LINE(ライン)」っていう、 メールと呼んでいいのやらなんなのやら よくわからないツールも登場しました。 いったいどーゆー手段ならメッセージがしっかり届くのか、 悩みだすとキリがありません。 (。・_・。)_・。)_・。)_・。)_・。) 要は、 「伝える」より「つながる」の時代ってことなんです。 伝えるためにはつながるしかないのだ と 言い換えることができるかもしれません。 プッシュして伝えようとすることは全般的に無駄になる確率が高く、 聞いてあげて理解してあげることに全力を傾けるほうには無駄がない。 ネット上でもリアルでも、 聞き上手がとにかく大切ってこと。 消費者は言いたいこと言ってます。 聞いてほしくてしかたがないから、 ホッと一息つくまもなく情報発信してるんです。 同時に、 顧客の側のアンテナはぐんぐん高くなってます。 あちらさんはちゃんと情報を探してますし、 必要な情報はキャッチしてるんです。 せっかく探してくれてるんですから、 見つかってあげたらいいだけなんです。 え? どうやって見つかってあげたらいいか? ですか? そりゃあとりあえずヒシャタイカですかねぇ~(≡^∇^≡) △ 横軸連携