横軸連携

情報がヨコに流れる時代。 顧客はあなた(=売り手企業)のメッセージを聞きません。 ソーシャルネットワークが普及し、 買い物に迷った顧客は友達からの(=ヨコからの)アドバイスを即座に手に入れ、 企業の生産計画まで左右します。 企業側にも横軸連携が必要です。


経営改善の決め手は「横軸連携」にあり!
──というテーマで自社主催セミナーを開きました。
タイトルからはわかりにくいのですが、
マーケティング感度を向上させるセミナーです。

テキストは「コトラーのマーケティング3.0」
この本の概要を紹介するだけでも
1000円くらいの価値があったんじゃないかと思いますが‥‥。
キーワードはです。
タテヨコの
ヨコ
なんです。
今日、
信頼は縦の関係より横の関係に依存している。
消費者は企業より他の消費者を信頼している。
  **
企業が打ち出す広告を信頼する消費者は減っている。
消費者は新しい信頼できる広告形態として、
クチコミに期待している。
  **
消費者が専門家よりも ソーシャル・ネットワーク上の見知らぬ他人を信頼している。フィリップ・コトラー「コトラーのマーケティング3.0」より

わかります?
消費者が横につながって、
情報が横に流れる時代になってきたということなのです。
フェイスブック(Facebook)をいじっていると
たしかにそういう横方向のつながり方を実感しますよね。
わかりやすく言うとですね、
あなたがモノを買うときにですね、
数年前までだったらテレビのコマーシャルを見たり
雑誌の広告を見たりして欲しくなったら買ってました。
企業(=売り手)が上から流す情報に反応していたわけなんです。
ところが、
いまの情報源はネットが主役。
企業(=売り手)がマスメディアを使って流すコマーシャルには反応せず、
あなたの友人や知人がソーシャルメディアを通じて横から流した
パーソナルな情報に影響を受けるっていうことなんです。
フェイスブックで友だちがおいしそうなラーメンの写真を載せているのを見て、
>おおっ!
>そういや今日のオレは、
>「はやらせ屋」のラーメンとギョーザが食いたいんだったわ

とかなんとか、
自分の欲しいものを友だちに教えてもらって思い出したかのような、
妙な購買行動を取ることが激増しているんです。
グルメだけじゃなく、
旅行でも、本でも、着るものでも、
クルマでも、セミナーでも、薬でも、
友だちからの情報だとなんか安心してしまって買ってしまう。
クチコミっていうのは確かに、
インターネットがなかった時代から個人消費に大きな影響力をもってたけれど、
それはあくまで半径ウン百メートル以内っていうような閉じた輪の中の話。
なんてったって、
個人が情報を発信する手段なんてなかったんですから。
ところが、
ソーシャルネットワークの普及とともに、
クチコミの影響力が何十倍にも膨れあがってんじゃないのっていうわけ。
そうだとするならば‥‥
それを見越したマーケティングを実践すればいいわけですね。
情報を横に流すイメージです。
ヨコ流し(ё_ё)
消費者に向かってあなた(=売り手企業)から直接メッセージを送るのではく、
まず別のだれか──チャネル・パートナーとか──にストーリーを語り、
そのストーリーに共鳴したパートナーがまた別の誰かに伝え、
またその共鳴が次の誰かに伝わっていく‥‥
みたいな流れです。
次から次へ情報が拡散していくっていうところが、
ソーシャルメディアによるマーケットの変化です。
マーケティング3.0の時代には、
営業して、PRして、みずからがみずからを売りこむ‥‥
っていう姿勢は
ますます受け入れられなくなるんです。
「営業マン」「販売会議」という言葉がまだ社内に残っているのなら、
いますぐ廃止して死語にしてしまいましょう。
 営業マン → マーケター
 販売会議 → マーケティング会議

っていうように。
そういうことのひとつひとつが、
マーケティング感度を高める文化づくり
全社で取り組みはじめるキッカケになるでしょう。
商品やサービスは
売れていくもの
というイメージを描くところが重要です。
自身はミッションを明確にし、
ストーリーを語るだけで、
あとはプロシューマーを含むチャネル・パートナーさんに
売っていただく。
そのイメージが売れていくしくみづくりの一部となるのです。
社内マーケターは、
みずから企画したプランで市場にストーリーを語りかけ、
反応の強弱を実感するという試行錯誤をくりかえしながら、
ときには痛みをともなう経験則を積み上げることでしか
自己のマーケティング感度を磨くことができません。
磨くべき能力を下の4つにまとめました。
いずれも座学ではなく 実体感によってしか身につかないスキルです。
  1. 人々を感動させるストーリーを紡ぐ
  2. チャネル・パートナーに対してブランド・ストーリーを演出する
  3. チャネル・パートナーとしてサプライヤ会社に口説かれて共鳴する
  4. チャネル・パートナーとしてコミュニティと接触しサプライヤ会社の製品が見つかりやすくする

この4つのスキルを磨くグループワークがメインのセミナーでした。