中小企業を舐めんなよ
中小企業vs大企業──この構図で大企業の「リコール隠し」を暴く中小企業の姿を描いた傑作「空飛ぶタイヤ」。 絶対に泣き寝入りはしない赤松社長の正義と行動力が胸を打つ。 全責任は自分。逃げ場はない。中小企業という生き方を選ぶなら覚悟しておこう。
中小企業vs大企業──この構図で大企業の「リコール隠し」を暴く中小企業の姿を描いた傑作「空飛ぶタイヤ」。 絶対に泣き寝入りはしない赤松社長の正義と行動力が胸を打つ。 全責任は自分。逃げ場はない。中小企業という生き方を選ぶなら覚悟しておこう。
「田坂さん、あんた、
いまやろうとしていることが
人間としての道から外れているとは思わないのか」池井戸潤「空飛ぶタイヤ」から
「金を返せってよ」
「は?」
一瞬ぽかんとした宮代は、聞き間違いだと思ったらしい。「なんとおっしゃいます?」
「融資を全額返済しろと、そういいやがった」
「どういうことです」
事情を説明した赤松の胸に迫ってきたのは、地面の底が割れるような怒りと悔しさだった。
「もうこれ以上悪いことなんかないと思っていたが、間違ってたらしい」
青ざめた宮代は、降って湧いたような厄災にうろたえていた。
「どうします、社長。いま銀行にそんなことをされたら──」
「これは喧嘩だ」
赤松は自分に言い聞かせるかのように吐き捨てた。
「敵は大ホープ。それでも買うしかない」池井戸潤「空飛ぶタイヤ」から