労使見解
中小企業家同友会に入会すると、 企業経営の基本精神として「人間尊重の経営」を学びます。 社員は、単なる労働力ではなく、もっとも頼りがいのあるパートナーと位置づけられるのです。 そんな人間尊重経営の原点となっているのが、1975年に発表された「労使見解」です。
中小企業家同友会に入会すると、 企業経営の基本精神として「人間尊重の経営」を学びます。 社員は、単なる労働力ではなく、もっとも頼りがいのあるパートナーと位置づけられるのです。 そんな人間尊重経営の原点となっているのが、1975年に発表された「労使見解」です。
当時は、労働組合の指導それ自体が、今とかなり違っていて、代表的な労働組合、例えば総評は「中小企業家といえども、資本家である。大企業の労働者も中小企業の労働者も、労働者に違いはない。大きい、小さいの差はあるけれども、実際的には一緒である。従って組合の態度というのは、総労働と総資本という関係で考える」ということを、一貫して言っておりました。
ですから「労働関係は力関係である。だから力でもってストライキをするとか、団体交渉するとか、さまざまな力を行使しながら自分たちの要求を勝ちとるということ以外に、自分たちの生活を高めることはできないのだ。また、それをやるべきだ」というような指導が、労働組合運動の中に一貫して流れている。そうしますと、中小企業の経営者にはそれに対する反発と憎しみが当然ながら生まれてくるということで、企業の中でさまざまな混乱と感情的な対立、争議が繰り返し行われて、お互いに大変に不幸な状況が生まれていました。
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その中で、いろいろな議論をしました。経営者側の意見の相違もありましたが、最終的に、この『労使見解』に到達したのです。「人を生かす経営」より(田山謙堂「人を生かす経営とは」/1989年8月)